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エーコの「薔薇の名前」の秘密

エーコの「薔薇の名前」の秘密

謎めいた死と迷宮図書館の謎

ウンベルト・エーコの小説「薔薇の名前」は、1327年のイタリアの修道院を舞台に、一連の不可解な殺人事件を描いています。修道士であり、探偵役のウィリアム・オブ・バスカヴィルは、弟子アドソ・オブ・メルクと共に、論理と観察を駆使して真実を追求します。彼らの調査は、修道院の巨大な図書館と、その奥深くに隠された秘密の部屋「果ての間(フィニス・アフリカエ)」の存在へと導きます。

禁断の書と知識の守護者

修道院の図書館は、世界中の知識を集めた、迷宮のような空間として描かれています。その中心部にある「果ての間」には、禁断とされる書物が保管されています。図書館は盲目の老修道士ホルヘによって守られており、彼は知識の保護者を自任し、禁書の閲覧を厳しく禁じています。

アリストテレスの「詩学」第二巻

事件の鍵となるのは、アリストテレスの「詩学」第二巻です。この書物は、喜劇論を扱っているとされ、ホルヘは笑いを神への冒涜と考え、この書物を隠蔽しようとします。彼は書物に触れた者に毒を塗り、その結果として、複数の修道士が命を落とします。

薔薇の象徴するもの

小説のタイトル「薔薇の名前」は、作中で重要な意味を持つ一節、「過ぎ去ったものについては、もはや薔薇という名が残るのみ」に由来します。この一節は、過去の出来事の儚さ、そして、存在の虚無性を示唆しています。作中では、薔薇は美と愛の象徴として登場する一方で、棘を持つことから、危険や死の象徴としても解釈できます。

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