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エーコの「ボードリーノ」の思想的背景

## エーコの「ボードリーノ」の思想的背景

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中世に対する歴史観

「ボードリーノ」は、12世紀のイタリアを舞台に、歴史の捏造と真実の曖昧さをテーマにした物語です。 エーコは、中世を「暗黒時代」と捉える従来の見方に異議を唱え、独自の視点から中世を描写しています。作中では、迷信や宗教的熱狂だけでなく、学問や文化の萌芽、騎士道精神や恋愛感情といった人間的な側面が活き活きと描かれています。

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物語と歴史の関係性

主人公ボードリーノは、架空の人物でありながら、実在の歴史上の人物と関わり、歴史的事件に影響を与えていく様子が描かれています。 これは、歴史が「客観的な事実」ではなく、「物語」として語られることで構築されるというエーコの思想を反映しています。 ボードリーノの語る「嘘」は、歴史の真実を問うと同時に、物語の持つ力強さを示唆しています。

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言語と現実の相対性

ボードリーノは、卓越した言語能力を持つ語り部であり、巧みな話術で周囲の人々を翻弄します。 彼は、言語が現実を操作する力を持つことを自覚しており、それを利用して自らの欲望を満たそうとします。 これは、言語と現実の関係が固定的なものではなく、相対的なものであるというエーコの思想を表しています。

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