## エンデのモモの表象
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時間
作中で「時間」は、人間が本来有しているものであり、人生そのものを表しています。人々から時間を奪う「灰色の男たち」は、時間銀行に預けられた時間を「配当」という形で人々に還元しますが、それはあくまでも「借り物」の時間に過ぎません。
「時間の花」は、人々の心の中に存在する時間そのものを象徴しており、モモとの交流を通して、人々はその花を再び開花させることができます。
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モモ
モモは、他者の話を「聴く」ことができる能力を持つ少女です。その能力は、人々の心の奥底に眠る「時間の花」を再び開花させる力を持っています。
モモの名前は、「瞬間」を意味するギリシャ語の「μομος (momos)」に由来していると考えられます。これは、モモが「今、この瞬間」を大切にすることの象徴であることを示唆しています。
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灰色の男たち
灰色の男たちは、人々から時間を奪う存在であり、効率性や合理性を重視する現代社会の象徴として描かれています。彼らは、人間の感情や想像力を軽視し、数字で表される時間のみを価値あるものと考えています。
灰色の男たちの外見は、無機質で冷たい印象を与えるものであり、彼らの存在は、現代社会における人間の疎外感を表現しているとも解釈できます。