## エンデのモモの発想
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時間の概念
エンデ自身は、時間について「人間が作り出した最大にして最も人工的な発明品」であり、「人間が自分たちの時間をどのように使うかによって、時間そのものが姿を変える」という見解を持っていました。 これは、「モモ」において、時間泥棒に時間を奪われた人々が、時間に追われる機械的な存在へと変貌を遂げていく様子や、モモが時間を大切に使うことで、周囲の人々に豊かな時間を取り戻していく様子に色濃く反映されています。
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現代社会への批判
「モモ」は、高度経済成長期における物質主義や効率主義といった現代社会の風潮に対するアンチテーゼとして描かれています。作中で人々が奪われる「時間」は、単なる時間ではなく、人生における大切なもの、例えば心の豊かさや人間関係、夢や希望などを象徴しています。エンデは、効率や利益を追求するあまり、本当に大切なものを失いつつある現代社会への警鐘を鳴らしていたと言えます。
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子供たちへのメッセージ
エンデは、「モモ」を通して、子供たちに「時間の大切さ」「想像力の尊さ」「人と人とのつながりの大切さ」を伝えようとしていました。 モモは、貧しく孤独な境遇でありながらも、持ち前の想像力と優しさで、周囲の人々に希望を与えていきます。エンデは、子供たちがモモの姿を通して、困難な状況に立ち向かう勇気や、周りの人たちを思いやる心を育んでほしいと願っていました。