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エンデのはてしない物語の構成

エンデのはてしない物語の構成

第1部:バスチアンの物語

「エンデのはてしない物語」は、大きく分けて二つの物語が並行して進む構造を取っています。第一部は、現実の世界で傷ついた少年バスチアン・バルタザール・ブックスが主人公です。

いじめられっ子で空想好きなバスチアンは、ある日古書店で「はてしない物語」という不思議な本を盗んでしまいます。屋根裏部屋に隠れて本を読み進めるうちに、バスチアンは物語の世界「ファンタージエン」に引き込まれていきます。

ファンタージエンは「虚無」と呼ばれる謎の力によって滅しようとしており、幼き女王の病とそれが関係していることが分かります。女王を救うため、勇者アトレーユが旅立ちますが、彼もまた苦難の道を歩むことになります。

第2部:ファンタージエンの物語

第二部では、物語の舞台がファンタージエンに移ります。読者は、バスチアンが読者として感情移入していた登場人物たちの活躍を、より深く追体験することになります。

アトレーユは様々な困難に遭遇しながらも、女王を救う方法を探し求めます。その過程で、彼は幸運の竜フッフールや老賢人カイロンなど、多くの仲間と出会います。一方、バスチアンは物語の世界にのめり込むあまり、現実の世界を見失っていくようになります。

物語と現実の交錯

「エンデのはてしない物語」の特徴的な点は、現実世界と物語世界の境界線が曖昧になっていく点です。バスチアンはファンタージエンの危機を救うため、読者としての立場を超えて物語に介入していきます。

物語が進むにつれて、現実世界の出来事がファンタージエンに影響を与え、逆にファンタージエンの出来事がバスチアンの現実世界に変化をもたらします。この複雑な構成が、「はてしない物語」を単なるファンタジー小説の枠を超えた、深いテーマ性を持つ作品にしています。

二重構造がもたらす効果

「エンデのはてしない物語」の二重構造は、読者に多層的な読書体験を提供します。読者はバスチアンと同様に、ファンタージエンの危機にハラハラドキドキしながらも、同時に現実の世界におけるバスチアンの心の変化にも注目することになります。

現実と虚構、読者と登場人物の関係性など、「エンデのはてしない物語」は従来の物語の枠組みを打ち破り、文学作品にできることを拡張した作品と言えるでしょう。

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