## エンデのはてしない物語と人間
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現実と空想の対比
「はてしない物語」は、現実の世界と空想の世界であるファンタージエンを対比にして描いています。主人公バスチアンが暮らす現実の世界は、退屈で無関心な大人たち、いじめ、そして学校生活でのプレッシャーなどに満ちています。一方、ファンタージエンは、空飛ぶドラゴン、勇敢な戦士、不思議な生き物たちが存在する、希望に満ちた世界です。エンデは、この対比を通して、現実世界における想像力の欠如、そしてそれによって引き起こされる問題を浮き彫りにしています。
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人間の欲望と空想の力
物語の中で、ファンタージエンは「虚無」と呼ばれる存在によって破壊の危機に瀕しています。この「虚無」は、人間の想像力の衰退によって生み出された存在です。エンデは、人間が自身の欲望や空想に責任を持つことの重要性を訴えています。物語の中で、バスチアンはファンタージエンを救うために「月の子供」に名前を与えなければなりません。これは、人間が空想に対して能動的に関与することの必要性を象徴しています。
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自己受容と成長
バスチアンは、物語の冒頭では内気で自信のない少年として描かれています。しかし、ファンタージエンでの冒険を通して、彼は勇気、友情、そして責任感といった大切な価値観を学び、成長していきます。エンデは、「はてしない物語」を通して、自己受容と自己成長の重要性を訴えかけています。バスチアンは、自身の内面と向き合い、弱さと向き合うことで、真の強さを獲得していくのです。
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物語の力
「はてしない物語」自体が、物語の持つ力を証明しています。バスチアンは物語を読むことを通して、現実世界の苦しみから逃れ、ファンタージエンの世界に没頭します。そして、物語の中で活躍することで、現実世界でも成長を遂げていくのです。エンデは、物語が持つ想像力、希望、そして癒しといった力を強く信じており、「はてしない物語」を通して、読者にその力を伝えようとしているのです。