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エンデのはてしない物語が扱う社会問題

エンデのはてしない物語が扱う社会問題

大人になることへの不安と喪失

 子どもが大人になる過程で直面する不安や、子ども時代の純粋さや想像力を失ってしまうことの悲しさを、エンデは「空虚」や「無感動」といった言葉で表現しています。大人になるにつれて、かつてはキラキラと輝いて見えた世界が色あせていくように感じ、夢や希望を失ってしまう。 Bastian をとりまく大人たちの姿は、まさにそうした現実を反映しています。

想像力の欠如と現実逃避

 ファンタージエンの危機は、現実世界の人々の想像力の欠如が原因です。現実世界の人々が空想や夢の世界に興味を持たなくなり、無関心になっていくことで、ファンタージエンは「虚無」に飲み込まれていきます。これは、物質主義や合理主義が台頭し、心の豊かさや想像力が軽視されている現代社会への警鐘と言えるでしょう。

メディアの影響力と受動的な情報の受け取り方

 作中で登場する「虚無」は、人々の想像力を奪い、世界を無関心で退屈なものに変えてしまう存在として描かれています。これは、現代社会におけるメディアの影響力の強さと、受動的に情報を受け取る人々の姿を暗示しているようにも解釈できます。

自己中心的で無責任な行動

 物語に登場する「望みの都アマガント」は、人々が自分の欲望だけを追い求めることで滅びてしまいます。これは、現代社会における物質主義や消費主義の行き過ぎ、自己中心的で無責任な行動への批判ともとれます。

コミュニケーション不足と孤独

 主人公バスチアンは、物語の冒頭でいじめや家庭環境の問題を抱え、孤独を感じています。ファンタージエンの物語世界に没頭していく様子は、現実世界でのコミュニケーション不足や孤独からの逃避とも解釈できます。現実世界においても、インターネットやSNSの発達により、皮肉にも人々の孤独感は増大しているとも言えるでしょう。

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