エンデの『はてしない物語』の関連著作

ミヒャエル・エンデの代表作として挙げられることの多い『モモ』と『はてしない物語』は、いずれもファンタジーの形式を借りて現代社会への批評を織り交ぜた作品です。

『モモ』では、時間を盗む「灰色の男たち」によって人々の心が蝕まれていく様子が描かれます。一方、『はてしない物語』では、「虚無」の力によって「ファンタージエン」の国が消滅の危機に瀕しています。

両作品に共通するのは、現実世界における人間性の喪失や想像力の欠如といった問題意識です。エンデはファンタジーの世界を舞台にすることで、現実社会が抱える問題をより鮮明に浮かび上がらせると同時に、人間の想像力が持つ可能性を力強く提示しています。

具体的には、『モモ』では、モモの豊かな想像力が時間泥棒たちの策略を打ち破る鍵となります。『はてしない物語』では、現実世界の少年 Bastian が物語の中に入り込み、自らの想像力でファンタージエンを救う役割を担います。

このように、エンデの作品におけるファンタジーは、単なる空想の世界ではなく、現実世界と密接に結びついた重要な役割を担っています。それは、エンデ自身が「ファンタジーは現実逃避ではなく、現実をより深く理解するための手段である」と語っていることからも明らかです。