エリオットのミドルマーチの話法
語り手の視点
『ミドルマーチ』は、全知的な語り手を特徴としています。語り手は、登場人物の思考や感情を知ることができ、読者には見えない情報を提供することができます。例えば、ドロシアがカソボンとの結婚生活に失望していることや、リッドゲートがミドルマーチの社会に溶け込むのに苦労していることを、読者は語り手を通して知ることができます。
自由間接話法
エリオットは、『ミドルマーチ』において自由間接話法を頻繁に使用しています。自由間接話法とは、登場人物の思考や感情を、語り手の声を通して表現する技法です。この技法を用いることで、登場人物の内面世界をより深く理解することができます。例えば、ドロシアがカソボンとの結婚生活に疑問を抱き始める場面で、彼女の心の葛藤は自由間接話法を通して鮮やかに描かれています。
多様な文体
『ミドルマーチ』では、登場人物の社会的地位や性格に応じて、文体が使い分けられています。例えば、教養の高いカソボンの言葉遣いは硬く形式ばっているのに対し、庶民的なキャラクターであるメアリー・ガースの言葉遣いは、より自然で親しみやすいものとなっています。このような文体の使い分けによって、登場人物の個性がより際立って描かれています。
詳細な描写
エリオットは、登場人物の行動や周囲の環境を詳細に描写することに長けています。細部までこだわった描写は、読者にリアリティを与え、作品世界への没入感を高めます。例えば、ブルサ家が住む家の様子や、ミドルマーチの街並みが生き生きと描写されています。
アイロニーとユーモア
『ミドルマーチ』は、アイロニーとユーモアに満ちた作品です。エリオットは、登場人物の言動や社会の矛盾を鋭く風刺し、読者に笑いを誘うとともに、人間の本質について考えさせます。例えば、ブルサ夫人の見栄っ張りな性格や、ミドルマーチの人々のうわさ好きは、ユーモラスに描かれています。