## エリオットのフェリックス・ホルトの構成
1. 全体構成
T.S.エリオットの長編詩『荒地』と対比されることの多い『フェリックス・ホルト』は、5部構成の長編詩です。各部はそれぞれ独立した章のような形式を取りながらも、全体を通してフェリックス・ホルトという人物の精神的な遍歴が描かれています。
2. 各部の概要
各部はそれぞれ異なる時間帯、場所、状況を設定し、フェリックスの内的葛藤や彼を取り巻く社会状況を描写しています。
* **第1部**: 1917年3月のイングランドの村を舞台に、第一次世界大戦から帰還したフェリックス・ホルトが、過去と向き合いながら自己のアイデンティティを模索する様子が描かれます。
* **第2部**: ロンドンに移ったフェリックスが、上流階級の社交界に身を置きながらも、その虚飾性や退廃に嫌悪感を抱く姿が描かれます。
* **第3部**: 舞台は再び村に戻り、フェリックスと幼馴染のエスターとの再会、そして二人の複雑な関係が描かれます。
* **第4部**: フェリックスは教師として働き始めますが、彼の理想主義的な教育方針は生徒や周囲との軋轢を生みます。
* **第5部**: 物語は再びロンドンに移り、フェリックスは労働者階級の集会に参加し、社会主義運動に傾倒していきます。
3. 詩形・表現
『フェリックス・ホルト』は、韻律や脚韻に囚われない自由詩で書かれています。また、詩の中には、登場人物たちの会話、新聞記事、手紙、歌など、様々な形式の文章が挿入され、多様な文体で物語が展開されます。