Skip to content Skip to footer

エリアーデの聖と俗の話法

## エリアーデの聖と俗の話法

###

現象学的還元

エリアーデは、聖と俗という二元対立的な概念を用いて、宗教的経験の本質を明らかにしようとしました。彼は、特定の宗教や宗派の教義内容を評価するのではなく、あらゆる宗教に共通する、人間の根源的な宗教経験の構造を解明することに関心を持ちました。この方法論は、現象学の影響を強く受けており、現象学的還元と呼ばれます。

現象学的還元とは、対象に対する先入観や偏見を可能な限り排除し、対象そのものが現れ出すままに、ありのままに記述する態度を指します。エリアーデは、聖と俗という概念を用いる際にも、特定の宗教における聖なるものの解釈を押し付けるのではなく、様々な文化や宗教における聖なるものの経験に共通する本質的な構造を明らかにしようとしました。

###

比較宗教的方法

エリアーデは、聖と俗という概念を軸に、世界中の様々な文化や宗教における神話、儀式、象徴などを比較検討しました。彼は膨大な資料を駆使し、古代から現代、原始社会から近代社会に至るまで、多様な宗教現象を分析しました。

彼の比較宗教的方法の特徴は、単なる類型化や分類を目指すのではなく、それぞれの宗教現象における聖なるものの顕現の仕方に着目している点にあります。彼は、一見異なるように見える宗教現象であっても、聖なるものと俗なるものの関係性という観点から分析することで、共通の構造を見出すことができると考えました。

###

聖なるものの顕現

エリアーデは、聖なるものは、俗なる世界において突如として現れると考えています。彼はこれを「ヒエロファニー」と呼び、聖なるものの顕現として位置づけました。ヒエロファニーは、自然物、人工物、時間、空間など、様々な形で現れます。

例えば、古代の人々にとって、巨木や岩山は、その圧倒的な存在感によって、聖なるものの力を感じさせるものでした。また、特定の場所や時間が、神々との接触点として聖なるものと結びつけられることもあります。

###

象徴とイメージ

エリアーデは、聖なるものの顕現は、象徴やイメージを通して人間に認識されると考えました。彼は、象徴を単なる記号とは異なるものとして捉え、聖なるものの現実性を媒介するものとして重視しました。

例えば、十字架はキリスト教において、キリストの受難と救済を象徴するものであり、信者にとっては単なる記号を超えた、聖なるものの現実性を帯びたものとなります。

エリアーデは、宗教における象徴やイメージは、人間の深層心理に働きかけ、聖なるものとの一体感を生み出す力を持つと考えていました。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5