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エリアーデの聖と俗の表象

## エリアーデの聖と俗の表象

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聖なる空間と時間

ミルチャ・エリアーデは、その主著『聖なる空間と時間』をはじめとする著作において、聖と俗の二元論を軸に、宗教的経験の本質を明らかにしようと試みました。エリアーデによれば、聖なる空間とは、混沌とした均質な空間の中に突如として出現する、異質なものとしての「聖なる顕現」によって切り開かれた場所です。この聖なる顕現は、たとえば神々の降臨や、聖なる存在との遭遇といった形をとります。

聖なる空間には、以下のような特徴が見られます。

* **中心性:** 聖なる空間は、世界の中心軸 (axis mundi) と認識され、そこから世界全体に聖なる力が放射されると考えられます。
* **現実感:** 聖なる空間は、非日常的で超越的な領域であると同時に、人々にとって最も現実的な場所として経験されます。
* **反復性:** 聖なる空間は、一度限りのものではなく、神話や儀礼を通じて繰り返し体験され、更新されます。

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聖なる時間

聖なる時間は、均質で連続的な世俗的時間とは異なり、神話や儀礼によって反復される、聖なる出来事が起きた原初的な時間です。この聖なる時間への回帰は、人々に再生と救済をもたらすとされます。

エリアーデは、聖なる時間の重要な側面として、以下の点を指摘しています。

* **循環性:** 聖なる時間は、直線的なものではなく、循環的な構造を持ち、儀礼を通じて繰り返し体験されます。
* **原初性:** 聖なる時間は、神々の時代や創世記など、世界の起源と結びついた、原初的な時間です。
* **更新性:** 聖なる時間は、儀礼への参加を通じて、人々に新たな生命力と秩序をもたらすとされます。

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聖と俗の対立と相互浸透

エリアーデは、聖と俗を明確に区別しつつも、両者は完全に断絶したものではなく、相互に影響を及ぼし合う関係にあるとしました。近代化が進む現代社会においては、聖なるものの経験は後退しつつありますが、それでもなお、人々は日常生活の中に聖なるものを希求し、その痕跡を見出そうとする、とエリアーデは指摘しています。

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