## エリアーデの聖と俗の機能
###
聖なる空間の機能
エリアーデによれば、聖なる空間は、混沌とした均質空間から区別されることによって立ち現れます。この区別は、突如として、ある地点や対象物が「聖なる顕現」によって、他の場所や対象物とは異なる、異種性を持つものとして認識されることによって生まれます。この聖なる顕現は、超自然的で超越的な存在、例えば神や精霊、あるいは祖先などの力によって引き起こされると考えられています。
聖なる空間は、単なる物理的な場所を超えた、豊かな宗教的経験と意味を持つ場所となります。具体的には、以下のような機能が挙げられます。
* **世界の中心としての機能**: 聖なる空間は、世界の中心軸「アクシズムンディ」として機能し、天地や神々と人間界を結びつける役割を担います。
* **秩序と創造の源泉としての機能**: 聖なる空間は、混沌とした世界に秩序と意味をもたらす源泉と見なされます。
* **聖なる力との接触点としての機能**: 聖なる空間は、神聖な力や存在が宿る場所、あるいはそれらと接触できる場所として、宗教的な儀礼や行為の中心地となります。
###
聖なる時間の機能
エリアーデは、聖なる時間は、直線的で連続的な「俗なる時間」とは異なり、循環的な構造を持つと説明します。聖なる時間は、聖なる顕現が起きた起源の時間に回帰することによって、再生と更新を経験します。
聖なる時間の重要な機能としては、以下の点が挙げられます。
* **起源の時間の反復**: 神話や儀礼を通して、聖なる時間は起源の時間を反復し、宇宙の創造の瞬間を追体験することを可能にします。
* **再生と更新**: 聖なる時間への参与は、俗なる時間の束縛から解放され、霊的な再生と更新をもたらします。
* **歴史の聖化**: 聖なる時間は、歴史的な出来事を起源の時間に結びつけ、永遠性を付与します。
###
聖なる事物の機能
聖なる事物は、聖なる空間と同様に、聖なる顕現によって、他の事物とは異なる特別な性質を持つと認識されます。この聖なる事物は、神や精霊などの聖なる存在を象徴したり、宿したりすると考えられています。
聖なる事物は、以下のような機能を果たします。
* **聖なる力との媒介**: 聖なる事物は、人間と聖なる力との間の媒介物として機能し、祈りや捧げ物を伝える役割を担います。
* **聖なる力の象徴**: 聖なる事物は、抽象的な聖なる力を視覚的に表現し、理解しやすくする役割を担います。
* **聖なる力の貯蔵庫**: 聖なる事物は、聖なる力を宿す器として、崇拝の対象となります。
###
俗なる世界の機能
エリアーデは、「俗」を「聖」の対立概念として捉え、あくまで「聖」を際立たせるための背景として位置づけています。
しかし、エリアーデは、近代社会における「俗化」の進展にも注目しており、「聖」と「俗」の二元論的な対立を超えた、現代社会における宗教のあり方についても考察しています。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。