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エリアーデの聖と俗とアートとの関係

## エリアーデの聖と俗とアートとの関係

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聖なる空間と時間におけるアート

ミルチャ・エリアーデによれば、宗教的な人間にとって、世界は均質ではなく、聖なる空間と俗なる空間とに区別されます。聖なる空間は、神聖なものが顕現した場所であり、非日常的な現実、すなわち聖なるものが存在する場所です。この聖なる空間は、人間にとって中心となり、秩序と意味をもたらす軸となります。

エリアーデは、聖なる空間の顕現は、しばしば「中心の象徴」を伴うと述べています。この中心の象徴は、世界軸として機能し、聖なる空間と俗なる空間を繋ぐ役割を果たします。具体的には、木、柱、山、寺院、宮殿などが挙げられます。

聖なる空間における時間は、循環的なものであり、天地創造や神々の行為が反復される神話的な時間と結びついています。宗教的な人間は、儀式や祭礼を通じてこの神話的な時間を反復し、聖なる時を体験します。

アートは、聖なる空間と時間を創り出す上で重要な役割を果たします。例えば、寺院建築は、その構造や装飾を通じて聖なる空間を具現化し、人々を聖なるものへと誘います。また、宗教儀式で使用される仮面や彫像は、神や精霊といった超越的な存在を表現し、聖なるものとの接触を可能にします。

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アートにおける聖と俗の対立と融合

エリアーデは、近代化が進むにつれて、聖なるものの体験が失われ、世界が脱聖化していくと指摘しました。この脱聖化の過程において、アートもまた、宗教的な文脈から切り離され、世俗的なものへと変化していきます。

しかし、エリアーデは、完全に聖なるものが失われることはないと考えていました。たとえ世俗化が進んだ社会においても、人間は心の奥底に聖なるものを求める気持ちを持ち続けており、アートはそうした聖なるものを表現する手段となり得ると彼は考えていました。

現代アートにおいても、聖なる空間や時間を想起させる作品や、宗教的なモチーフを用いた作品は数多く存在します。これらの作品は、必ずしも特定の宗教と結びついているわけではありませんが、人間の根源的な宗教性や、超越的なものへの希求を表現していると言えるでしょう。

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