## エリアーデの聖と俗が扱う社会問題
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近代社会における聖の喪失と宗教的体験の衰退
エリアーデは、近代化が進むにつれて、伝統的な社会に見られた「聖なるもの」に対する感覚が失われつつあることを指摘しました。 科学技術の発達や合理主義の台頭により、世界は脱聖化され、人間は超越的なものとの繋がりを喪失しつつあると彼は主張します。
伝統的な社会では、聖なる空間や時間は、日常生活とは異なる特別な領域として認識されていました。 祭祀や儀礼を通じて、人々は聖なるものと接触し、そこから生きる力や秩序を見出していました。
しかし、近代社会では、このような聖なるものに対する感覚は薄れ、世界は均質で、意味や価値に乏しいものとして認識されるようになりました。 その結果、現代人は、虚無感や疎外感に悩まされ、生きる目的を見失っているとエリアーデは考えました。
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世俗化と宗教の変容
エリアーデは、聖なるものの後退に伴い、宗教も変容を遂げていると指摘しました。 近代社会において、宗教は、伝統的な形を失い、個人主義的かつ合理主義的な傾向を強めています。
彼は、近代人が宗教に対して、教義の論理的な整合性や、倫理的な教えを求めるようになっていることを指摘しました。 これは、宗教が、もはや聖なるものとの生きた接触を提供するものではなく、理性によって理解されるべき知識体系として捉えられていることを示唆しています。
このような宗教の変容は、人々の精神的な渇きを癒すには十分ではなく、むしろ、宗教的体験の希薄化をもたらすとエリアーデは危惧していました。
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現代における聖の顕現と新しい宗教性
エリアーデは、近代社会における聖の喪失を指摘する一方で、聖なるものが完全に消滅したわけではないとも述べています。 彼は、現代社会においても、芸術やスポーツ、政治運動など、一見、非宗教的な領域において、聖なるものが顕現する可能性を指摘しました。
これらの領域において、人々は、熱狂や陶酔、一体感といった、宗教的体験に類似した経験をすることがあります。 エリアーデは、このような現代社会における聖の顕現を、新しい宗教性の萌芽として捉えていました。
しかし、彼は同時に、これらの新しい宗教性が、伝統的な宗教のように、人々に倫理的な規範や、世界観を提供できるかどうかについては、疑問を呈してもいます。