## ウルフの自分だけの部屋
### 1. 作品の概要
「自分だけの部屋」は、ヴァージニア・ウルフが1928年10月に行った2つの講演をまとめた、フェミニズム批評の先駆的作品です。1929年に書籍として出版されました。
### 2. 作品の主題
この作品でウルフは、「女性が小説を書くためには、年間500ポンドの収入と自分だけの部屋が必要である」という主張を軸に、女性の社会進出、特に文学の世界における女性の立場について論じています。
### 3. 作品の内容
ウルフは作品の中で、自身の経験を交えながら、女性が置かれている不平等な状況を具体的に示していきます。大学や図書館への女性の立ち入りが制限されていること、経済的な自立が難しいこと、家事や育児といった無償労働を女性に押し付ける社会構造など、様々な問題提起がなされます。
### 4. 作品の構成
作品は、ウルフが「女性とフィクション」というテーマで講演を行うよう依頼されたところから始まります。ウルフは、このテーマについて深く考えるうちに、「女性が小説を書くためには何が必要か」というより根源的な問いにたどり着きます。
そして、自身の経験や歴史的事実を織り交ぜながら、女性が直面する困難や不平等を浮き彫りにしていきます。その過程で、創作活動を行う上で欠かせない「経済的自立」と「精神的な自由」を象徴する「500ポンド」と「自分だけの部屋」というキーワードが登場します。
### 5. 作品の表現
ウルフは、「自分だけの部屋」において、明快で力強い文章を用いながらも、随所にユーモアや皮肉を交えています。これは、読者を引き込みつつも、主張の核心をぼやかさないための工夫と言えるでしょう。