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ウルフのダロウェイ夫人を読む前に

ウルフのダロウェイ夫人を読む前に

意識の流れについて理解する

 ヴァージニア・ウルフは、登場人物の思考や感情を、まるで心の流れのように、途切れ途切れに、自由に表現する「意識の流れ」という手法を用いた作家として知られています。『ダロウェイ夫人』でもこの手法が効果的に使われており、クラリッサや他の登場人物たちの心の中を、まるで覗き見しているかのように感じ取ることができます。

 意識の流れは、論理的な思考や時系列に沿った描写ではなく、思考や感情の自然な流れを表現しようとするものです。そのため、読者は、登場人物たちの思考や感情の移り変わりに戸惑うことなく、身を任せるようにして読むことが大切です。

第一次世界大戦後のロンドンを思い描く

 『ダロウェイ夫人』は、第一次世界大戦後の1920年代のロンドンを舞台としています。大戦は人々の心に深い傷跡を残し、社会全体に不安や喪失感が漂っていました。

 作中では、華やかなパーティーや社交界の様子が描かれる一方で、戦争で心に傷を負ったセプティマスや、社会に適応できないと感じている登場人物たちの苦悩も描かれています。登場人物たちの心情や行動を深く理解するためには、当時の社会背景や人々の心理状態をイメージすることが重要です。

登場人物たちの関係性に注目する

 『ダロウェイ夫人』は、一見すると、クラリッサ・ダロウェイ夫人という一人の女性の1日に焦点を当てた小説のように思えます。しかし、物語が進むにつれて、クラリッサと周囲の人々との複雑な関係性が次第に明らかになっていきます。

 例えば、クラリッサの夫リチャードとの関係や、過去の恋人であるピーターとの再会、そして、戦争で心に傷を負ったセプティマスとその妻ルクレツィアとの間接的な関わりなど、様々な人間関係が織りなすドラマに注目することで、作品への理解をより深めることができます。

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