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ウルフのダロウェイ夫人の対極

ウルフのダロウェイ夫人の対極

1. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』は、意識の流れという手法を用い、登場人物の内的世界を深く掘り下げた作品として知られています。一方、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は、壮大なスケールで人間の存在、信仰、罪、罰といった普遍的なテーマを扱っています。

『ダロウェイ夫人』は、ロンドンの一日を舞台に、クラリッサ・ダロウェイという上流階級の女性の繊細な心理描写を中心に物語が展開されます。一方、『カラマーゾフの兄弟』は、ロシアの片田舎を舞台に、父殺しという事件を通して、人間の根源的な罪と罰、神と信仰の問題を追求しています。

『ダロウェイ夫人』が詩的で繊細な文体で書かれているのに対し、『カラマーゾフの兄弟』は、登場人物たちの激しい感情のぶつかり合いを、長編小説という形式で描き出しています。前者が個人の内面世界を重視するのに対し、後者は社会や歴史、宗教といった大きな枠組みの中で人間存在を捉えようとしている点が対照的です。

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