ウルフのオーランドーの原点
人物像のモデル
オーランドーの人物像は、主にヴァージニア・ウルフの恋人であったヴィタ・サックヴィル＝ウェストがモデルとなっています。貴族の館で育ち、華やかな社交界で人気を博し、奔放な恋愛遍歴を持つヴィタと、物語の主人公オーランドーには多くの共通点が見られます。
執筆のきっかけ
1927年、ヴィタはウルフに、先祖である17世紀の詩人フルク・グレヴィルについて執筆するように勧めました。これが「オーランドー」の執筆のきっかけになったと言われています。ウルフはヴィタの先祖伝を書く代わりに、ヴィタ自身をモデルとした壮大な物語を創造することを思いついたのです。
歴史とフィクションの融合
「オーランドー」は、エリザベス朝時代のイングランドから20世紀初頭までの約400年間を舞台とし、実在の歴史上の人物や出来事が多く登場します。しかし、ウルフは史実を忠実に再現することにこだわらず、フィクションを交えながら自由な物語を紡ぎ出しています。例えば、オーランドーが突然女性に変化するエピソードは、歴史的事実ではなく、ウルフの創作によるものです。
ジェンダーへの視点
ウルフは「オーランドー」を通して、当時の社会におけるジェンダーの役割や、女性が置かれていた不自由な立場について考察しています。男性として生きていた頃のオーランドーと、女性に変化した後のオーランドーでは、周囲の対応や社会的な制約が大きく異なります。ウルフはこのような対比を通して、ジェンダーによる不平等さを浮き彫りにしています。