ウエルズの世界史概観の関連著作
H.G.ウェルズの世界史概観と関連する歴史的名著
H.G.ウェルズの歴史観に影響を与えた、あるいは、類似のテーマを扱った歴史的名著として、下記のものが挙げられます。
### エドワード・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」
18世紀に書かれたこの大著は、ローマ帝国の繁栄から衰退までを詳細に描いた歴史書です。ウェルズはギボンの明晰な筆致と歴史分析の手法に影響を受けたとされ、「世界史概観」においてもローマ帝国の章は特に詳細に記述されています。
### オスワルド・シュペングラーの「西洋の没落」
20世紀初頭に発表された本書は、独自の文明史観に基づき、西洋文明を含むあらゆる文明が誕生、成長、衰退、滅亡というサイクルを辿ると説きました。ウェルズはシュペングラーの歴史観に部分的には同意を示しつつも、その悲観的な未来予測には異を唱えました。
### アーノルド・J・トインビーの「歴史の研究」
膨大な歴史的事実を元に文明の盛衰を分析した12巻からなる大著です。トインビーは、文明は挑戦と応戦の繰り返しによって発展すると主張し、環境や内的要因による文明の衰退を論じました。ウェルズはトインビーの歴史分析の手法に影響を受けた可能性がありますが、トインビーの著作は「世界史概観」出版後に刊行されたため、直接的な影響関係は不明です。
これらの歴史書は、いずれも「世界史概観」と同様に、壮大なスケールで歴史を捉え、人類の歴史における普遍的な法則や意味を探求しようとした点で共通しています。
上記以外にも、ウェルズの「世界史概観」は、マルクス主義の歴史観や、当時発展しつつあった考古学や人類学の成果など、多様な思想や学問の影響を受けています。