## ウェーバーの職業としての政治からの学び
### 政治における二つの倫理
ウェーバーは「職業としての政治」において、政治に携わる者は **「責任倫理」** と **「心情倫理」** の二つの倫理の間で葛藤すると述べています。
**責任倫理** とは、政治家が自らの行動の結果に責任を持つべきだという倫理観です。政治家は、自らの政策が人々や社会にどのような影響を与えるかを考え抜き、その結果に対して責任を負わなければなりません。
一方、**心情倫理** とは、政治家が自らの信念や心情に基づいて行動すべきだという倫理観です。政治家は、たとえそれが人々にとって不利益になる可能性があったとしても、自らの信じる正義や道徳に従って行動すべきだと考えます。
ウェーバーは、政治家は常にこの二つの倫理の間で板挟みになると指摘します。責任倫理に従って行動すれば、時には自らの信念を曲げなければならないこともあります。逆に、心情倫理に従って行動すれば、人々を不幸に導いてしまう可能性もあります。
### 政治家の資質
ウェーバーは、政治家には **「情熱」**、**「責任感」**、**「判断力」** の三つの資質が必要であると述べています。
**情熱** とは、政治に情熱を燃やし、自らの信念のために尽力する姿勢のことです。
**責任感** とは、自らの行動の結果に対して責任を持ち、その責任を果たす覚悟のことです。
**判断力** とは、複雑な状況を冷静に分析し、最善の行動を選択する能力のことです。
ウェーバーは、政治家はこれら三つの資質をバランスよく備えている必要があると主張します。情熱だけで突き進めば、無謀な政策をとってしまう可能性があります。責任感や判断力が欠如していても、国民を正しい方向に導くことはできません。
### 職業政治家と機会政治家
ウェーバーは、政治家には **「職業政治家」** と **「機会政治家」** の二つのタイプがあると述べています。
**職業政治家** とは、政治を職業として生活の糧を得ている政治家のことです。政治家としての活動に専念し、政治によって生計を立てています。
一方、**機会政治家** とは、政治を副業とするか、一時的に政治に関わる政治家のことです。政治家としての活動以外に、本業を持っていたり、財産を持っていたりします。
ウェーバーは、現代社会においては、職業政治家の存在が不可欠であると主張します。現代社会の政治は複雑化しており、政治の専門家である職業政治家でなければ、その役割を果たすことは難しいからです。
### 権力への志向と権力の倫理###
ウェーバーは、政治に関わる人間は誰でも、少なからず権力への志向を持っていると述べています。そして、重要なのは、その権力をどのように用いるか、その倫理だと主張します。
真の政治家は、権力を私利私欲のために用いるのではなく、あくまで公共の福祉のために用いるべきだとウェーバーは考えています。