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ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の構成

## ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の構成

第1部 問題提起

#### 第1章 宗派的信仰と社会階層

 本章では、当時のドイツ社会における興味深い統計的事実が提示されます。それは、近代資本主義の担い手である企業家や熟練労働者、そして近代経済生活に適応した事務職員といった層に、プロテスタント、特にカルヴァン派の信者がカトリック信者よりも多く見られるというものです。ウェーバーはこの事実を「宗教と職業との間の関係」(Berufsaffinität)と呼び、その原因を探求することが本書の目的であると述べます。

第2部 職業倫理としての禁欲主義

#### 第2章 禁欲主義と資本主義の精神

 本章では、近代資本主義の精神を特徴付ける要素として、「労働に対する禁欲的で合理的な態度」が提示されます。これは、利益の追求を自然な欲求とみなす従来の資本主義とは異なり、利益獲得を義務と捉え、勤勉な労働と禁欲的な生活を通して神の栄光を顕現しようとする精神です。

#### 第3章 ルーテルの「天職」概念 その発展における問題点

 本章では、宗教改革の先駆者であるルターの思想における「天職」概念が分析されます。ルターは、世俗における労働も神に奉仕する道であるという考えを示しましたが、あくまで既存の身分秩序を肯定するものでした。ウェーバーは、ルターの思想だけでは、近代資本主義の駆動力となった禁欲的で合理的な労働倫理を説明するには不十分であると指摘します。

#### 第4章 カルヴァン主義における天職思想

 本章では、カルヴァン主義における「天職」概念が、ルターのものとは決定的に異なることを示します。カルヴァン主義の中核をなす「予定説」は、個人が救済されるか否かはあらかじめ神によって決められているという教義です。この絶対的な神の摂理の下で、信者は強烈な不安と孤独に苛まれます。そこで、カルヴァン主義は、現世における職業労働の成功を神の恩寵の証と捉えることで、信者の不安を克服しようとしました。

#### 第5章 禁欲主義的プロテスタンティズムの諸派における禁欲

 本章では、カルヴァン主義だけでなく、ピューリタニズム、ピエティズム、メソジストといった他の禁欲主義的プロテスタンティズム諸派においても、禁欲的な労働倫理が説かれていたことを示します。これらの宗派は、それぞれ独自の教義や実践形態を持ちながらも、世俗的な享楽を厳しく戒め、勤勉な労働と質素な生活を通して神の栄光を顕現することを重視しました。

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