## ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神と時間
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時間に対する宗教改革の影響
マックス・ウェーバーは、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、禁欲的なプロテスタンティズム、特にカルヴァン主義が、西洋近代資本主義の精神の形成に重要な役割を果たしたと論じました。この主張において、時間に対する態度は重要な要素となっています。
中世ヨーロッパでは、カトリック教会の影響の下、時間は循環的なものと捉えられていました。教会の暦に基づき、祝祭日や儀式が繰り返されることで、人々は時間の中に秩序と意味を見出していました。また、来世における救済が重視され、現世はあくまでそのための準備期間と見なされていました。
しかし、宗教改革によって状況は一変します。ルターは、「すべての信徒は祭司である」という思想を掲げ、聖職者を通さずに個人が直接神と向き合うことを強調しました。カルヴァンは予定説を唱え、人間の救済はあらかじめ神によって決定されており、人間の努力では変えられないとしました。
これらの思想は、人々の時間に対する意識に大きな変化をもたらしました。個人が自身の救済を確信するためには、神から与えられた職業に勤勉に励み、その成果によって神の栄光をあらわすことが重要視されるようになりました。
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禁欲と合理的な時間利用
カルヴァン主義においては、禁欲的な生活が求められました。贅沢や享楽は厳しく戒められ、勤勉に働くことで得た富は浪費するのではなく、再投資に回すことが推奨されました。これは、時間を無駄にせず、常に神の栄光のために有効に使うという意識と結びついていました。
こうして、プロテスタント倫理の下では、時間に対する合理的な計算と管理が重視されるようになりました。時間厳守、計画性、効率性といった価値観が生まれ、経済活動においても重視されるようになっていきます。
ウェーバーは、このような時間に対する態度の変化が、近代資本主義の発展に大きく寄与したと論じています。時間に対する合理的な計算と管理は、生産性の向上、資本の蓄積、経済の合理化を促進し、資本主義の精神を形作った重要な要素の一つとなったのです。