## ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の思考の枠組み
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近代資本主義の精神
ウェーバーは、西洋近代に特徴的な合理的な経済システム、つまり「近代資本主義」が成立した要因を探求しました。彼は、単なる経済的必然性や物質的欲望だけでは、禁欲的で勤勉な労働を美徳とする資本主義の精神を十分に説明できないと考えました。
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宗教改革と禁欲的プロテスタンティズム
ウェーバーは、16世紀の宗教改革とその後のプロテスタンティズム、特にカルヴァン主義に注目しました。カルヴァン主義の中核にある「予定説」は、個人が救済されるかどうかはあらかじめ神によって決定されており、人の力では変えられないとする教義です。この教義は、信者に強い不安と焦燥感をもたらしました。
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職業労働と神の栄光
カルヴァン主義者は、この不安を克服するために、現世での成功を神の恩寵の証と見なし、職業労働に勤勉に励むことを推奨しました。労働は神に与えられた「召命」であり、経済的成功は神の祝福の証であると解釈されたのです。
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禁欲と資本蓄積
カルヴァン主義の倫理は、享楽的な消費を戒め、禁欲的な生活を推奨しました。労働によって得られた富は、浪費ではなく再投資に回され、資本蓄積と経済発展を促進しました。
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合理主義と世俗化
ウェーバーは、プロテスタンティズムの倫理が、近代資本主義の精神を形成する上で重要な役割を果たしたと考えました。そして、資本主義が発展するにつれて、当初は宗教的動機に基づいていた禁欲や勤勉といった価値観は、宗教から切り離された世俗的な倫理へと変容し、合理的な経済活動の基盤を形成していったと主張しました。