## ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神を読む前に
###
マックス・ウェーバーってどんな人?
マックス・ウェーバーは19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの社会学者、経済学者であり、「社会学の父」の一人として数えられています。彼は近代資本主義の起源や官僚制の構造など、多岐にわたるテーマについて研究しました。彼の学問的関心は幅広く、歴史学、経済学、法学、哲学、宗教社会学など多岐にわたりました。
ウェーバーは、近代社会を理解する上で、「合理化」という概念を重視しました。彼は、近代社会では、伝統的な価値観や感情に基づく行動よりも、合理的な計算に基づく行動が支配的になっていくと論じました。
###
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』ってどんな本?
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、1904年から1905年にかけて発表されたウェーバーの代表作の一つです。この本でウェーバーは、近代資本主義の精神、特に禁欲的な労働倫理が、プロテスタント、特にカルヴァン主義の倫理観と強い関連性を持つと主張しました。
彼は、カルヴァン主義の「予定説」や「職業召命」といった教義が、信者を禁欲的な労働や勤勉さへと駆り立て、結果として資本主義の発展を促したと分析しました。
###
予備知識があると理解が深まるポイント
#### 1. 近代資本主義の特徴
ウェーバーが論じた「近代資本主義」は、単なる経済活動ではなく、合理的な生産組織、労働倫理、利潤追求などを特徴とする社会システムです。当時のヨーロッパ社会における資本主義の特異性を理解することで、ウェーバーの主張がより明確になります。
#### 2. プロテスタントとカトリックの違い
ウェーバーが注目したプロテスタント、特にカルヴァン主義は、それまでのキリスト教の主流派であったカトリックとは教義や教会組織、宗教観において大きく異なっていました。両者の違いを理解することで、なぜウェーバーがプロテスタント、特にカルヴァン主義に注目したのかが見えてきます。
#### 3. 「予定説」と「職業召命」
カルヴァン主義の中心的な教義である「予定説」は、人間の救済はあらかじめ神によって決められており、人間の努力では変えられないという考え方です。「職業召命」は、神から与えられた使命として、自らの職業に専念し、勤勉に働くことを説くものです。これらの教義が、人々の労働観や経済活動にどのような影響を与えたのかを考えることが重要です。
###
時代背景を押さえよう
ウェーバーがこの本を執筆した19世紀後半から20世紀初頭は、ヨーロッパ社会が大きく変動した時代でした。産業革命の進展による資本主義経済の隆盛、都市化の進展、国民国家の形成といった変化の中で、社会構造や人々の価値観は大きく変化しました。