## イェーリングの権利のための闘争
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イェーリングにおける「闘争」概念
ルドルフ・フォン・イェーリングは、1872年に出版された著書『権利のための闘争』の中で、「権利は自らを守る者を保護する」という有名なテーゼを掲げました。このテーゼは、権利が単に法典に記された抽象的な概念ではなく、現実世界において絶えず侵害の脅威にさらされているものであることを示唆しています。そして、権利を維持するためには、権利者は自らの手で積極的に闘わなければならないという強いメッセージが込められています。
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「闘争」の対象と方法
イェーリングは、「闘争」の対象を、個人の権利を侵害するあらゆるものと定義しています。具体的には、他者による不法行為はもちろんのこと、国家による不当な介入や、社会に蔓延する不正な慣習なども含まれます。
そして、イェーリングは、権利を守るための「闘争」方法として、法的手段だけでなく、社会的な運動や啓蒙活動なども重視しました。彼は、個人が自らの権利意識を高め、連帯して不正に立ち向かうことこそが、真の権利の実現につながると考えていたのです。
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「闘争」の限界
ただし、イェーリングは、権利のための「闘争」を無制限に肯定していたわけではありません。彼は、権利の主張が行き過ぎた結果、社会全体の秩序が乱れることを強く危惧していました。
そこでイェーリングは、「権利のための闘争」はあくまで法の枠組みの中で行われるべきであり、暴力や違法行為によって権利を主張することは決して許されないことを強調しました。