## イェーリングのローマ法の精神の構成
イェーリングの『ローマ法の精神』は、全6巻からなる壮大な著作であり、各巻は独立したテーマを扱いつつ、全体としてローマ法の発展と精神を描き出しています。以下に、各巻の内容を詳しく見ていきます。
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第1巻:ローマ法の起源
第1巻では、ローマ法の起源と初期の発展について扱われています。ローマ初期の家族、氏族、国家といった社会構造と、それに対応した法の形成過程が詳細に分析されています。特に、家族における家父長権を中心とした法的関係や、慣習法としての「古法」の特徴が明らかにされています。
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第2巻:ローマ法の発展史
第2巻では、王政ローマから共和政ローマ、そして帝政ローマへと至るローマ史の展開の中で、ローマ法がどのように発展していったのかが詳細に論じられます。法の形式の発展、法務官による法の解釈と発展、そしてローマ市民法から万民法への移行といった重要な変化が分析されています。
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第3巻:債権関係
第3巻では、ローマ法における重要な柱の一つである債権関係が詳細に論じられます。契約、不法行為、準契約といった債権発生原因論や、それぞれの債権の種類、効果、消滅といった債権総論、そして個別の契約類型といった債権各論について網羅的に解説されています。
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第4巻:物権関係
第4巻では、債権関係と並ぶローマ法のもう一つの柱である物権関係が論じられます。所有権、占有権といった物権の種類や内容、取得・喪失といった物権変動、そして担保物権といった個別の物権類型について詳細に解説されています。
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第5巻:家族法と相続法
第5巻では、家族と相続に関するローマ法が扱われます。婚姻、親権、後見といった家族法上の制度や、遺言、遺産相続といった相続法上の制度が、ローマ社会における家族のあり方と関連付けながら解説されています。
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第6巻:ローマ法の受容と影響
最終巻となる第6巻では、ローマ法が、中世ヨーロッパや近代ヨーロッパにおいてどのように受容され、影響を与えたのかが論じられます。ローマ法学の発展、ローマ法の継受と変容、そして近代法典への影響といったテーマが扱われ、ローマ法の普遍的な意義が示されています。