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イェーリングのローマ法の精神の対極

イェーリングのローマ法の精神の対極

サヴィニーの「立法と法学に対するわれわれの時代の使命について」

ルドルフ・フォン・イェーリングの「ローマ法の精神」は、ローマ法の生成と発展を、法的概念の論理ではなく、社会の現実的な必要性や闘争との関連から説明した画期的な著作です。法を硬直した体系ではなく、絶えず変化する社会とともに発展していく動的なものとして捉えるイェーリングの視点は、後の法学研究に多大な影響を与えました。

しかし、イェーリングと同じ19世紀ドイツにおいて、彼の法思想とは対照的な立場をとる法学者がいました。フリードリヒ・カール・フォン・サヴィニーです。彼は1814年に発表した「立法と法学に対するわれわれの時代の使命について」の中で、当時のドイツにおける法典編纂運動を痛烈に批判し、歴史主義法学の立場から、民族の精神に基づく法の自然的発展を主張しました。

サヴィニーは、法は国民の言語や習慣と同様に、民族の精神から自然発生的に生み出されるものだと考えました。そして、法を国民共通の意識によって有機的に発展させていくためには、法学者が歴史研究を通じて民族の精神を体現する法原理を明らかにし、法体系を構築していくことが重要であると主張しました。

サヴィニーは、ローマ法を優れた法体系として高く評価していましたが、それはあくまでローマ民族の精神が生み出したものであり、19世紀のドイツにそのまま適用できるものではありませんでした。彼は、ドイツ民族固有の法を体系化するためには、ローマ法の形式的な模倣ではなく、ドイツの伝統や慣習に根ざした法原理の発見が必要であると訴えました。

イェーリングが社会の現実や必要性から法を捉えようとしたのに対し、サヴィニーは歴史と伝統の中に法の根源を見出そうとしました。両者の法思想は、19世紀ドイツにおける法典論争を背景に対照的な立場を示しており、その後の法学研究に大きな影響を与え続けています。

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