## アリストテレスの詩学の面白さ
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古代ギリシャの演劇論を垣間見る面白さ
「詩学」は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、 tragedy(悲劇) や epic poetry(叙事詩) といった詩作の構造や効果を分析した著作です。現代から見ると、その分析対象は演劇や文学全般にまで広がります。
当時のギリシャ演劇は、宗教的な儀式と密接に結びつき、人々の生活の中心的な役割を担っていました。アリストテレスは、そのような重要な役割を担う詩作を、単なる娯楽としてではなく、人間の精神や社会における影響力を持つものとして捉え、その本質に迫ろうと試みました。
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演劇の三要素「ミメーシス」「ハマルティア」「カタルシス」
「詩学」で最も有名なのは、悲劇を構成する六要素「プロット」「性格」「思想」「言葉」「音楽」「視覚的効果」のうち、最も重要な要素として「プロット」を挙げている点です。
アリストテレスは、「プロット」は悲劇の「魂」であり、「行為の模倣」であると述べています。 また、悲劇の目的は、観客に「憐れみ」と「恐怖」といった感情を体験させ、それを通じて精神を浄化することであると説いています。
彼が提唱した「ミメーシス(模倣)」「ハマルティア(過失)」「カタルシス(浄化)」といった概念は、後の時代の演劇理論に多大な影響を与え、現代においても重要な概念として受け継がれています。
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普遍的な人間の心理や行動原理への洞察
「詩学」で展開されるアリストテレスの考察は、古代ギリシャの演劇という特定の対象を超えて、人間の心理や行動原理、社会における芸術の役割といった普遍的なテーマにまで及んでいます。
例えば、登場人物の設定について、アリストテレスは「善良で適切な仕方で描かれるべき」と述べています。これは、観客が感情移入しやすい登場人物を描くことで、より強いカタルシスを引き起こすためであると考えられています。
このように、「詩学」は単なる演劇論にとどまらず、人間の行動や心理、社会における芸術の役割といった、今日においても重要なテーマについて深く考察した書物として、時代を超えて読み継がれる価値を持つと言えるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。