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アリストテレスの詩学の発想

## アリストテレスの詩学の発想

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模倣(ミメーシス)

アリストテレスは、人間には生まれつき模倣する性質があると考えた。子どもは模倣によって学び、大人になってからも絵画や彫刻、演劇などを通して模倣を楽しむ。詩作もまた、この人間の根源的な欲求である模倣衝動に基づく活動であるとされる。

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対象の違いによる分類

アリストテレスは、詩をその対象とするものによって分類した。悲劇と喜劇は、それぞれ高貴な人物と卑俗な人物を模倣する。叙事詩は、悲劇と同様に、高貴な人物の行為を模倣する。ただし、悲劇が舞台上で演じられるのに対し、叙事詩は語りによって表現される。

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悲劇の構造

アリストテレスは、悲劇を構成する六つの要素として、「筋」「性格」「思想」「言葉」「音楽」「舞台装置」を挙げ、中でも「筋」を最も重要な要素とした。悲劇は、主人公が幸運から不幸へと転落する過程を描くことで、観客に恐怖と憐れみといった感情(情念)を喚起し、カタルシス(浄化)をもたらすとされる。

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カタルシス

「カタルシス」は『詩学』における重要な概念だが、その解釈には議論が多い。アリストテレス自身は、カタルシスを「ある種の浄め、ある種の癒し」と表現しているものの、具体的な説明はしていない。一般的な解釈では、観客が劇中の登場人物に感情移入し、彼らとともに恐怖や憐れみを体験することで、そうした感情が浄化され、心の安定がもたらされると考えられている。

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