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アリストテレスの詩学の技法

アリストテレスの詩学の技法

ミメーシス(模倣)

アリストテレスにとって、あらゆる芸術の基礎となるものは模倣ミメーシスです。彼は、人間には生まれつき模倣する本能と、模倣から学ぶ喜びがあると主張しました。詩学においては、この模倣は現実の直接的な複製ではなく、作家の解釈と再創造を通して表現されます。悲劇であれ喜劇であれ、詩は人間の行動、感情、経験を模倣することで、普遍的な真実を明らかにしようとします。

プロット(mythos)

アリストテレスは、プロットを悲劇の最も重要な要素と見なし、「行為の模倣」と定義しました。プロットは単なる出来事の羅列ではなく、因果関係によって結びついた、始まり、中間、終わりを持つ有機的な全体構造を持つべきだとされます。

効果的なプロットは、観客に恐怖や憐れみ(怖れと哀れみフォボスとエレオス)といった感情を喚起し、最終的にそれらの感情のカタルシス(浄化)へと導きます。

性格(ethos)

登場人物は、プロットの中で行動し、その行動を通して倫理的な選択を行います。アリストテレスは、登場人物は「善良」「適切」「一貫性」「真実味」の四つの特性を持つべきだとしました。

登場人物の性格は、プロットの展開に大きく影響を与え、観客の感情移入を促進する重要な要素となります。

思想(dianoia)

思想とは、登場人物のセリフを通して表現される、作品のテーマやメッセージ、登場人物の思考や感情などを指します。アリストテレスは、思想は言葉を通して表現されるべきであり、登場人物の性格やプロットと調和していなければならないと強調しました。

言語(lexis)

言語は、登場人物のセリフや歌など、作品を構成する言葉を指します。アリストテレスは、言語は明瞭で適切であるべきだとしながらも、比喩やリズムなどを用いて表現を豊かにすることも重要だとしました。

音楽(melos)

音楽は、古代ギリシャの演劇において重要な役割を果たしており、歌や踊りを伴っていました。アリストテレスは、音楽は観客の感情に直接訴えかける力を持つため、プロットや他の要素と調和していなければならないと述べています。

スペクタクル(opsis)

スペクタクルは、舞台装置、衣装、照明、特殊効果など、視覚的な要素を指します。アリストテレスは、スペクタクルは他の要素に比べて重要度は低いものの、観客の没入感を高める効果があると認めました。

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