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アリストテレスの自然学の対極

## アリストテレスの自然学の対極

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アイザック・ニュートンの『プリンキピア』

アリストテレスの自然学は、目的論的な宇宙観に基づき、物体の運動をその物体に内在する「自然な位置」への移動として説明しました。
例えば、石が落下するのは、その石が地球の中心という「自然な位置」へ向かうためだとされました。

一方、17世紀に発表されたアイザック・ニュートンの『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』は、このようなアリストテレス的な自然観を覆し、近代科学の礎を築いた金字塔として知られています。

『プリンキピア』は、万有引力の法則と運動の法則を数学的に体系化し、物体の運動を力と運動の関係性から説明しました。
これは、物体の運動の原因をその物体自身ではなく、外部からの力に求めるという、アリストテレスの自然学とは根本的に異なる視点です。

例えば、『プリンキピア』では、石が落下するのは、地球と石の間に働く万有引力という力によって引き寄せられるためだと説明されます。
これは、アリストテレスのように物体に内在する目的や性質に頼ることなく、力学的な法則によって自然現象を説明しようとする、近代科学の出発点となりました。

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量子力学

アリストテレスの自然学は、人間の感覚で直接捉えられるマクロな世界の経験に基づいて構築されました。
物体は明確な位置と運動量を持ち、その運動は決定論的に予測可能であるという直感的な理解が前提とされています。

しかし、20世紀初頭に誕生した量子力学は、原子や電子といったミクロな世界を記述する物理学であり、アリストテレス的な自然観とは相容れない概念を提示しました。

量子力学において、粒子はもはや明確な位置と運動量を同時に持つことはできず(不確定性原理)、その状態は波動関数によって確率的にしか記述できません。
また、観測という行為が観測対象の状態に影響を与え、その結果を決定してしまうという、古典物理学では考えられない現象も明らかになりました。

このような量子力学の描像は、アリストテレスが前提としていた決定論的な世界観、そして人間の直感的な理解を超えた、全く異なる自然の姿を明らかにしました。

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