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アリストテレスの弁論術の表現

## アリストテレスの弁論術の表現

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表現(レクシス)

とは

アリストテレスは、著書『弁論術』の中で、弁論術を構成する要素の一つとして「表現(レクシス、λέξις lexsis)」を挙げています。表現とは、思想を言葉によって表現することを指し、単に言葉を選ぶだけでなく、言葉を用いて聞き手に効果的に訴えかける技術を含みます。

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表現の重要性

アリストテレスは、表現が弁論の効果に大きな影響を与えると考えていました。優れた表現は、聞き手の感情を揺さぶり、思考を促し、説得へと導く力を持つからです。逆に、不適切な表現は、聞き手の理解を妨げ、反感を買ってしまう可能性もあります。

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表現の要素

アリストテレスは、効果的な表現を実現するための要素として、以下の点を挙げています。

* **明瞭さ**: 聞き手に容易に理解される、明快な言葉遣いをすること。
* **適切さ**: 話題、聞き手、状況などにふさわしい言葉を選ぶこと。
* **装飾**: 比喩や韻律などを用いて、表現に豊かさと力強さを与えること。
* **構成**: 語句を効果的に配列し、リズムと調和を生み出すこと。

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表現の技巧

アリストテレスは、表現の装飾として、様々な修辞技法を紹介しています。

* **比喩**: あるものを別のものにたとえること。(例:石のように硬いパン。)
* **隠喩**: あるものを別のものとして表現すること。(例:人生という航海。)
* **提喩**: 部分で全体を表したり、全体で部分を 表したりすること。(例:帆が水平線に消えた→船が水平線に消えた。)
* **反復**: 同じ言葉を繰り返すこと。(例:来た、見た、勝った。)
* **対句**: 対照的な言葉を対にして並べること。(例:時は金なり。)
* **誇張**: 物事を実際以上に大きく表現すること。(例:汗が滝のように流れ出た。)

アリストテレスは、これらの技法を単なる言葉遊びとしてではなく、聞き手の感情や理解に働きかけるための技術として捉えていました。

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表現の倫理

アリストテレスは、表現の技巧を駆使して、聞き手を欺いたり、不当に操ったりすることを戒めています。真の弁論家は、表現の力を用いて、真実を伝え、正義を実現しようと努めるべきだと説いています。

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