アリストテレスの弁論術が関係する学問
修辞学
アリストテレスの「弁論術」は、古代ギリシャで誕生した修辞学という学問の基礎を築いた書物として位置づけられます。修辞学は、言葉によって人の心を動かし、説得するための技術や理論を研究する学問です。アリストテレス以前にも、ソフィストと呼ばれる雄弁家たちが弁論術を駆使していましたが、体系的な理論としてまとめたのはアリストテレスが初めてでした。
論理学
「弁論術」の中では、論理的な思考を用いて説得力のある主張を展開する方法が詳しく論じられています。例えば、演繹法や帰納法といった推論方法、論理の誤謬などが紹介され、これらは現代の論理学においても重要な概念となっています。アリストテレスは、論理的な思考こそが、聞き手を納得させ、合意形成を図るための基盤であると考えていました。
政治学
アリストテレスは、「弁論術」を政治の分野においても活用できると考えていました。政治家は、政策の是非を市民に訴え、支持を得るために雄弁術を必要とします。「弁論術」では、政治演説の際に効果的な三つの要素として、「エートス（話者の信頼性）」、「パトス（聞き手の感情）」、「ロゴス（論理的な аргументы）」を挙げています。
倫理学
アリストテレスは、「弁論術」を単なる説得のテクニックではなく、倫理的な観点からも考察しました。彼は、弁論術は正しいことを正しいと認めさせるために用いられるべきであり、不正な目的のために悪用されるべきではないと主張しました。倫理と弁論の関係は、「弁論術」の中で重要なテーマの一つとして扱われています。
心理学
「弁論術」では、人間の感情や心理を理解することが、効果的な説得を行う上で重要であると説かれています。例えば、怒りや喜びといった感情がどのように生じ、どのように表現されるのか、また、人々の行動を促すためにはどのような心理的な働きかけが有効なのかなどが分析されています。