## アリストテレスの動物誌の構成
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動物誌
におけるアリストテレスの方法は、観察に基づいたものでした。彼は、動物界を網羅的に分類しようと試み、動物の外部および内部の器官、行動、生活史、地理的分布など、多岐にわたる側面を記述しています。全10巻からなる本書は、動物界についての古代の知識の集大成と言えるでしょう。
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各巻の内容
各巻はそれぞれ特定のテーマに焦点を当てています。
* **第1巻**: 動物の発生、解剖学、生理学に関する一般的な考察。
* **第2巻**: 人間の解剖学的特徴、特に生殖器官について。
* **第3巻**: 血液のない動物(軟体動物、甲殻類など)の分類と特徴。
* **第4巻**: 血液のある卵生四足動物(爬虫類、両生類など)の分類と特徴。
* **第5巻**: 血液のある卵生四足動物(鳥類)の分類と特徴。
* **第6巻**: 血液のある胎生四足動物(哺乳類)の分類と特徴。
* **第7巻**: 人間の発生と生殖に関する詳細な考察。
* **第8巻 – 第9巻**: 動物の行動、感覚、知性に関する考察。
* **第10巻**: 動物の生殖方法、妊娠期間、寿命に関する考察。
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構成の特徴
「動物誌」は、現代の生物学の教科書とは異なり、体系的な分類に基づいて記述されているわけではありません。アリストテレスは、動物を「血液のある動物」と「血液のない動物」に大別し、さらに形態、生殖方法、生活様式などの特徴に基づいて分類しています。しかし、この分類は必ずしも一貫しておらず、重複や例外もみられます。
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「動物誌」の意義
「動物誌」は、体系的な動物学研究の礎を築いた重要な著作と言えるでしょう。アリストテレスの観察と記録は、後の時代の自然科学者たちに多大な影響を与え、近代生物学の出発点となりました。