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アリストテレスのニコマコス倫理学を読んだ後に読むべき本

アリストテレスのニコマコス倫理学を読んだ後に読むべき本

アラスデア・マッキンタイア著「美徳なき時代―道徳的 Identität の危機」

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読み終えた後、アラスデア・マッキンタイアの『美徳なき時代―道徳的 Identität の危機』を読むことは、倫理思想の探求を深める上で自然な流れと言えるでしょう。『ニコマコス倫理学』が古代ギリシャにおける徳倫理学の金字塔であるのに対し、『美徳なき時代』は現代社会における道徳の危機を鋭く分析し、失われた徳の伝統を回復することの重要性を訴える作品です。

マッキンタイアは、現代社会が道徳的な不一致と相対主義に陥っていることを指摘し、その原因を探求します。彼は、啓蒙主義以降の近代思想が、普遍的な道徳基盤を築くことに失敗したと批判し、その結果、個人主義や感情主義が蔓延し、共通善の概念が希薄になったと主張します。

マッキンタイアは、現代社会の道徳的危機を克服するために、アリストテレスに代表される徳倫理学の伝統に立ち返ることの必要性を説きます。彼は、人間を共同体の中で目的を追求する存在として捉え、徳を、その目的を実現するために必要な習性や能力と定義します。そして、正義、勇気、節制、知恵といった古典的な徳を現代的に解釈し直し、それらを育むことが道徳的に充実した人生を送るために不可欠であると主張します。

『美徳なき時代』は、『ニコマコス倫理学』で提示された徳倫理学の枠組みを現代社会の問題に適用し、その有効性と限界を検証する試みと言えるでしょう。マッキンタイアの鋭い洞察は、現代社会における倫理的な課題について深く考えさせられるとともに、私たち自身の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。

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