## アリストテレスのニコマコス倫理学の美
美とは何か
アリストテレスは『ニコマコス倫理学』の中で美について体系的に論じているわけではありません。
しかし、彼の倫理思想を理解する上で、美が重要な要素となっていることは間違いありません。
アリストテレスにとって倫理学とは、
> 「いかに善く生きるか」
を探求する実践的な学問でした。
彼は、人間が生まれながらにして持つ様々な能力を、
その本来的機能を発揮するように
> 「卓越性(アレテー)」
を目指して
> 「徳(アレテー)」
を追求することによって、
> 「幸福(エウダイモニア)」
という人生の究極目的を達成できると考えました。
美と善
アリストテレスは、美と善を明確に区別していません。
彼は美を、
> 「秩序」「調和」「均整」
を備えたものとして捉え、
それが快の感覚を引き起こすと考えました。
そして、感覚的な快を超えた、
> 「精神的な喜び」
や
> 「高揚感」
をもたらすものとして、
> 「高貴な快」
という概念を提示しました。
この高貴な快は、
> 「理性」
と深く結びついており、
> 「徳」
を追求すること、
> 「善く生きること」
と密接に関係しています。
美と快
アリストテレスは、
> 「感覚的な快」
と
> 「精神的な快」
を区別しました。
前者は、
> 「肉体的な欲望」
を満たすことから生じる一時的な快楽であり、
後者は、
> 「理性」
や
> 「精神」
を満足させることから生じる、
より永続的で高次の快楽です。
アリストテレスは、
> 「真の幸福」
に到達するためには、
> 「理性」
に基づいた
> 「徳のある行為」
を積み重ね、
精神的な快を追求することが重要であると考えました。
美と教育
アリストテレスは、
> 「美」
と
> 「教育」
の関係についても論じています。
彼は、
> 「美しいもの」
に接することは、
> 「精神」
を高め、
> 「徳」
を涵養する上で重要であると考えました。
そのため、
> 「音楽」
や
> 「演劇」
などの芸術を教育に取り入れることを重視しました。
これらの芸術は、
> 「感情」
を浄化し、
> 「理性」
を育成する効果があると考えたのです。
アリストテレスは美について断片的に論じているに過ぎませんが、
彼の倫理思想において美が重要な位置を占めていることは間違いありません。
彼は美を、
> 「善」
> 「幸福」
> 「教育」
と密接に関連づけて捉えていました。