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アリストテレスのニコマコス倫理学の対称性

## アリストテレスのニコマコス倫理学の対称性

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徳の対称性

ニコマコス倫理学において、アリストテレスは人間の徳を二つのカテゴリーに分類しています。

* **知性的徳 (dianoetic virtues)**: 知性や思考に関連する徳。知恵 (sophia)、思慮深さ (phronesis)、理解力 (sunesis) などが含まれます。
* **倫理的徳 (ethical virtues)**: 感情や欲望に関連する徳。勇気 (andreia)、節制 (sophrosyne)、正義 (dikaiosyne) などが含まれます。

これらの徳は、それぞれが独立しているわけではなく、相互に関連し合い、バランスを保つことが重要であるとアリストテレスは説いています。例えば、勇気は、無謀さ (rashness) と臆病さ (cowardice) という二つの極端の中間にある徳であり、理性によって制御された適切な行動をとることで発揮されます。

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魂の構成要素の対称性

アリストテレスは、人間の魂を三つの構成要素に分け、それぞれの要素が特定の機能と徳を持つと考えています。

* **理性 (logos)**: 人間特有の思考や判断をつかさどる部分。知性的徳はこの部分に属します。
* **気概 (thumos)**: 感情や欲望をつかさどる部分。倫理的徳、特に勇気はこの部分と深く関わります。
* **栄養摂取能力 (epithumia)**: 生命維持のための欲求をつかさどる部分。節制はこの部分と関連します。

これらの構成要素は、それぞれが独立しているわけではなく、相互に影響し合い、調和のとれた状態を目指すべきであるとアリストテレスは述べています。

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幸福と徳の対称性

アリストテレスは、人間の最終目的は幸福 (eudaimonia) にあると定義し、幸福は徳 (arete) によって達成されると説いています。

* **幸福**: 魂がその機能を十分に発揮している状態。
* **徳**: 理性に従って適切に行動する、習慣化された能力。

つまり、知性的徳と倫理的徳をバランスよく発揮し、魂の各構成要素を調和させることで、人間は真の幸福を達成できるとアリストテレスは考えています.

これらの対称性は、ニコマコス倫理学における重要なテーマであり、アリストテレスの倫理思想全体を理解する上で欠かせない要素です。

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