## アポロドロスのギリシア神話の評価
1. 概要
「アポロドロスのギリシア神話」は、紀元2世紀頃に編纂されたとされるギリシア神話の集成です。著者はアポロドロスという人物とされていますが、詳しいことは分かっていません。現存する最古のギリシア神話集成の一つであり、ホメロスやヘシオドスといった古代ギリシアの詩作品とは異なり、散文で書かれている点が特徴です。
2. 構成と内容
「アポロドロスのギリシア神話」は、全3巻から構成されています。
* **第1巻**: 天地創造からトロイア戦争までの神々と英雄の物語が語られます。
* **第2巻**: ヘラクレスの12の功業を中心に、他の英雄たちの物語も含まれます。
* **第3巻**: トロイア戦争とその後の英雄たちの帰還が描かれます。
各物語は、簡潔で分かりやすい文章で語られており、系譜や地理的な情報なども盛り込まれています。
3. 史料的価値
「アポロドロスのギリシア神話」は、失われてしまった多くの古代ギリシア文学作品の内容を伝えているという点で、非常に貴重な史料とされています。例えば、アイスキュロスの悲劇「テーバイ攻め」は断片的にしか残っていませんが、「アポロドロスのギリシア神話」にはその物語の概要が記されています。
4. 影響
「アポロドロスのギリシア神話」は、後世のヨーロッパ文学に大きな影響を与えました。ルネサンス期以降、多くの作家や芸術家が、この作品からギリシア神話の題材を得ています。