アポロドロスのギリシア神話の発想
アポロドロスの目的
現存する「アポロドロスのギリシア神話」の目的を断定する直接的な記述はありません。しかしながら、本書がギリシア神話の神々や英雄たちの系譜を体系的にまとめ、物語を時系列順に整理して記述していることから、当時のギリシア人やローマ人にとって、複雑なギリシア神話を理解するための入門書あるいは参考書としての役割を担っていたと推測されています。
アポロドロスの資料
アポロドロスは本書を著すにあたって、ヘシオドスの「神統記」やホメロスの叙事詩「イーリアス」「オデュッセイア」を始めとする、多くの先行する詩作品や散文作品を参考にしています。
アポロドロスの構成
「アポロドロスのギリシア神話」は、世界の創造からトロイア戦争後の英雄たちの帰還までを、全3巻の構成で記述しています。
* 第1巻:神々の誕生、プロメテウスと人類の創造、ゼウスの支配確立、ゼウスの子孫たちの物語などを扱っています。
* 第2巻:ヘラクレスの12の功業を中心に、ペルセウスやテセウスといった英雄たちの冒険譚が語られます。
* 第3巻:アルゴナウタイの冒険とトロイア戦争が中心的に描かれています。
アポロドロスの特徴
アポロドロスは、先行する様々な文献を参照しながらも、簡潔で明快な文章で物語を再構成しています。また、複数の伝承が存在する場合は、それらを並記することで、読者に多様な解釈を提供しています。