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アポロドロスのギリシア神話の思考の枠組み

アポロドロスのギリシア神話の思考の枠組み

アポロドロスの「ギリシア神話」について

アポロドロスの「ギリシア神話」は、紀元2世紀頃に編纂されたとされるギリシア神話の集成です。 現存する最古の神話集成の一つとして、非常に重要な作品とされています。

体系的な記述

アポロドロスの特徴の一つに、その体系的な記述様式が挙げられます。 彼は、神々の誕生からトロイア戦争後の英雄たちの帰還まで、膨大な物語を年代順に整理し、簡潔な散文で記述しています。 これは、ホメロスやヘシオドスに見られるような詩的な表現や逸話的な展開とは大きく異なり、 歴史書のような客観性と網羅性を重視した姿勢が伺えます。

多様な資料の利用

アポロドロスは、彼自身の創作ではなく、先行する様々な詩人や歴史家たちの作品を参考に「ギリシア神話」を編纂しました。 ホメロスやヘシオドスの叙事詩はもちろんのこと、 悲劇詩や叙情詩、歴史書や地理書など、多岐にわたる資料を駆使していたことが、 本文中の引用や言及から明らかになっています。

物語の合理化

ギリシア神話は、地域や時代によって異なるバージョンが存在することが少なくありません。 アポロドロスは、そうした複数の伝承を比較検討し、 時には独自の解釈を加えながら、 物語をより整合性のとれたものに再構成しようと試みています。

道徳的な解釈の抑制

アポロドロスは、物語の道徳的な解釈や寓意的な説明を極力避けている点も特徴です。 彼は、登場人物の行動や心理描写よりも、 事件の経過や系譜関係といった客観的な事実に重点を置いています。 これは、神話を倫理的な教訓や哲学的な思索の題材として捉えるのではなく、 あくまで歴史的事実として記録しようとする、彼の歴史家的な視点を反映していると考えられます。

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