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アトウッドの「ペネロピアド」の思考の枠組み

## アトウッドの「ペネロピアド」の思考の枠組み

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語り手と視点

ホメロス叙事詩『オデュッセイア』の語り直しである本書は、オデュッセウスの妻であるペネロペを語り手に据えています。しかし、ペネロペは一人称単数で語るだけでなく、

> 「今となっては、私たちは言うべきことを言う機会を得ました」

というように、「私たち」という一人称複数も用います。これは、ペネロペと共に殺害された12人の侍女たちの視点も含めていることを示唆しています。

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物語の再解釈

『オデュッセイア』では英雄として描かれるオデュッセウスを、ペネロペは狡猾で自己中心的な人物として描写します。一方、受動的な存在とされてきたペネロペ自身は、知性と機転を駆使して困難な状況を生き抜く女性として描かれます。

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ギリシャ神話とフェミニズム

本書は、ギリシャ神話の世界を舞台に、女性に対する抑圧や男性中心的な社会構造を浮き彫りにします。ペネロペや侍女たちの物語を通して、アトウッドは古典的な物語に潜むジェンダーの不均衡を批判的に考察しています。

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