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アウグスティヌスの神の国の選択

## アウグスティヌスの神の国の選択

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アウグスティヌスにおける二つの愛

アウグスティヌスは、『神の国』において、人間の選択を二つの愛に集約して論じています。それは、**神への愛(amor Dei)** と **自己への愛(amor sui)** です。この二つの愛は、それぞれ異なる方向性を持っており、それが人間の選択を決定づける要因となっています。

神への愛は、自己を超越し、永遠なるもの、不変なものへと向かう上昇的な愛です。それは、真の幸福、すなわち永遠の生命へと導く愛です。一方、自己への愛は、自己中心的であり、有限なもの、変化するものへと執着する愛です。それは、罪と死、そして永遠の苦しみへとつながる愛です。

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二つの愛と二つの都市

アウグスティヌスは、この二つの愛をそれぞれ体現する存在として、**神の国(Civitas Dei)** と **地の国(Civitas Terrena)** という二つの都市を対比的に提示します。

神の国は、神への愛によって支配され、永遠の平和と幸福を希求する人々の共同体です。そこでは、神への愛に基づいた秩序と正義が実現されています。一方、地の国は、自己愛によって支配され、現世的な利益や快楽を追求する人々の共同体です。そこでは、支配と被支配の関係、争い、そして絶え間ない不安定さが存在します。

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選択の重要性と神の恩寵

アウグスティヌスは、人間は自由意志を持っており、どちらの愛を選択するか、どちらの都市に属するかは、個々の選択に委ねられていると説きます。 しかし、人間の自由意志は原罪によって弱体化しており、自力のみで神への愛を選択することは不可能となっています。

そこで必要となるのが、神の恩寵です。神の恩寵とは、神から人間に与えられる無償の贈り物であり、これによってのみ人間は自己愛を克服し、神への愛へと方向転換することが可能となります。

**注記**: ここでは、アウグスティヌスの思想のごく一部を概説的に紹介したに過ぎず、彼の思想の全体像を網羅したものではありません。また、アウグスティヌス解釈は多岐にわたっており、ここで示した解釈はあくまでも一例であることに留意する必要があります。

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