## アウグスティヌスの神の国の案内
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著 者
: アウレリウス・アウグスティヌス(Aurelius Augustinus)
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執筆背景
: 410年、西ゴート族によるローマ略奪を目の当たりにしたアウグスティヌスは、キリスト教に対する批判、特に「ローマ帝国の守護神を見捨てたキリスト教のせいだ」という非難に反論するために本書を執筆しました。
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構成
: 全22巻からなり、前半(1~10巻)は「地の国」を、後半(11~22巻)は「神の都」を主題としています。
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「地の国」と「神の都」
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* **地の国**: 現世的な欲望や快楽を追求し、自己中心的な愛に支配された人々の社会。
* **神の都**: 神への愛を基礎とし、隣人愛によって結ばれた人々の共同体。
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歴史観
: アウグスティヌスは、歴史を「神の都」と「地の国」の対立とせめぎ合いという視点から捉えています。
二つの「都」は、人間の心の内にも存在し、個人の内面的な葛藤をも象徴しています。
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神の国の実現
: 「神の都」は、完全な形で実現するのは、歴史の終末、最後の審判の後であるとされます。
しかし、現世においても、教会を通して部分的に実現されると考えられています。
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政治と宗教の関係
: アウグスティヌスは、教会と国家の分離を唱えたわけではありません。
しかし、国家権力はあくまで相対的なものであり、「神の都」の市民としての生き方が重要であるとしました。
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影響
: 本書は、中世キリスト教世界における政治思想、歴史観、倫理観に多大な影響を与えました。
現代においても、西洋思想の根幹をなす重要な古典として読み継がれています。