## アウグスティヌスの神の国の周辺
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執筆背景
* **ローマ帝国とキリスト教:** アウグスティヌスが「神の国」を執筆した4世紀から5世紀初頭にかけて、ローマ帝国は衰退の一途を辿っていました。380年にキリスト教が国教化されましたが、伝統的なローマの価値観とキリスト教の教えとの間には、依然として大きな隔たりがありました。
* **ローマ略奪 (410年):** 410年、西ゴート族によってローマが略奪されたことは、帝国全体に衝撃を与えました。この出来事は、キリスト教徒と非キリスト教徒の双方から、ローマの衰退はキリスト教のせいだとする非難を招きました。
* **異端との論争:** 当時、キリスト教内部では、三位一体論や原罪論などを巡って様々な異端思想が生まれていました。アウグスティヌスは、これらの異端思想と戦い、正統なキリスト教信仰を擁護することに尽力しました。
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「神の国」の内容
* **二つの愛と二つの国:** アウグスティヌスは、人間の愛には「神に向かう愛」と「自己に向かう愛」の二種類があるとしました。そして、この二つの愛に基づいて、それぞれ「神の国」と「地の国」という二つの国が存在すると考えました。
* **歴史観:** アウグスティヌスは、歴史を神の国と地の国の対立と発展として捉えました。彼は、聖書の記述に基づき、人類の歴史を天地創造から最後の審判までを貫く壮大な物語として描き出しました。
* **理想国家論:** アウグスティヌスは、「神の国」においてのみ真の正義と平和が実現されるとしました。彼は、地上の国家は神の国の完全な実現を目指すのではなく、あくまで相対的な正義と秩序を維持することに努めるべきだと考えました。
* **教会論:** アウグスティヌスは、教会を神の国を地上で代表する存在として位置づけました。彼は、教会は国家から独立した存在であり、信仰と道徳に関する指導権を持つと主張しました。
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影響
* **中世キリスト教思想への影響:** 「神の国」は、中世キリスト教思想に多大な影響を与え、政治思想、歴史観、教会論など、様々な分野において重要な役割を果たしました。
* **西洋思想における古典:** 「神の国」は、プラトンの「国家」やアリストテレスの「政治学」と並ぶ、西洋思想における政治哲学の古典とされています。
* **現代社会への示唆:** 「神の国」は、現代社会においても、宗教と政治の関係、歴史の意味、人間の存在意義など、様々な問題を考える上で重要な示唆を与えてくれます。