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アウグスティヌスの神の国の原点

## アウグスティヌスの神の国の原点

ローマ帝国とキリスト教

アウグスティヌスが「神の国」を著したのは、ローマ帝国の衰退期とキリスト教の台頭が重なる激動の時代でした。 410年には、西ゴート族によってローマが陥落するという衝撃的な事件が起こり、伝統的なローマの価値観は大きく揺らぎました。 このような状況下で、キリスト教徒であるアウグスティヌスは、ローマ帝国の衰退とキリスト教の関係について、当時のローマ市民から厳しい批判にさらされていました。 彼らは、ローマの伝統的な多神教を捨て、キリスト教を採用したことが、ローマの衰退を招いたと主張したのです。

「神の国」執筆の動機

アウグスティヌスは、「神の国」を著すことで、こうした批判に反論し、キリスト教信仰の正当性を擁護しようとしました。 彼は、ローマの衰退は、キリスト教のせいではなく、むしろローマ人自身の道徳的堕落が原因であると主張しました。 また、真の幸福は、地上の帝国の栄光ではなく、永遠の神の国にのみ存在すると説きました。

聖書の解釈

アウグスティヌスは、「神の国」の中で、聖書を歴史的に解釈し、人間の堕落、神の救済計画、歴史の終末における神の国の完成という壮大な物語を描き出しました。 彼は、創世記におけるアダムとエバの堕落に始まり、旧約聖書における神の選民イスラエルの歴史、そしてイエス・キリストの到来と教会の誕生という救済史を辿り、最終的にキリストの再臨と最後の審判を経て、義人が永遠の命を得る神の国の完成に至るという歴史観を提示しました。

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