## アウグスティヌスの神の国に関連する歴史上の事件
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ローマ帝国におけるキリスト教の迫害
アウグスティヌスは、ローマ帝国においてキリスト教が迫害されていた時代に生き、その経験が「神の国」の思想に大きな影響を与えました。 313年のコンスタンティヌス1世によるミラノ勅令以前、キリスト教はローマ帝国内で公認されておらず、信者たちは厳しい弾圧を受けていました。 殉教者の存在は、地上の栄華よりも神の国の価値を優先することの重要性を示すものとして、アウグスティヌスの思想に深く刻まれました。
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380年のキリスト教の国教化
テオドシウス1世によって380年にキリスト教がローマ帝国の国教と宣言されたことは、アウグスティヌスの思想に大きな影響を与えました。 彼は、これを神の国の勝利と捉え、地上における教会の役割と責任について深く考察しました。 一方で、彼はキリスト教徒が政治権力を持つことによる倫理的な問題や、教会と国家の関係の複雑さにも目を向けました。 「神の国」の中で、アウグスティヌスは、真のキリスト教徒は地上の権力に盲従するのではなく、常に神の正義と愛に従うべきであると主張しました。
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410年のローマ略奪
410年、西ゴート族によってローマが略奪されたことは、当時のローマ人に大きな衝撃を与えました。 キリスト教徒となったローマ帝国が、蛮族の侵略によって崩壊の危機に瀕しているという事実は、多くの人の信仰を揺るがすものでした。 アウグスティヌスは、この出来事を背景に「神の国」を執筆し、ローマの陥落は神の怒りではなく、むしろ人間の罪深さの結果であると説きました。 彼は、真の幸福は地上の都市ではなく、永遠の都市である神の国にのみ存在すると主張し、人々の不安を慰めました。
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ローマ帝国の衰退とゲルマン民族の台頭
5世紀に入ると、ローマ帝国はますます衰退し、ゲルマン民族がヨーロッパ各地に勢力を拡大しました。 アウグスティヌスは、この歴史的転換期において、伝統的なローマの価値観や政治秩序が崩壊していくのを目の当たりにしました。 彼は、「神の国」の中で、地上の国家は永遠ではなく、常に変化し、滅びる運命にあると述べています。 その一方で、神の国は永遠に存在し、真のキリスト教徒は、いかなる時代や状況においても、神の国の市民としてのアイデンティティを保つべきだと説きました。