## アウグスティヌスの告白を面白く読む方法
### １．アウグスティヌスの人間性に共感する
「告白」は、今から約1600年も前に書かれた本です。古典、しかもキリスト教の聖人として崇められている人物が書いた本と聞くと、なんだか難しそうに感じてしまうかもしれません。しかし、「告白」は堅苦しい教典ではなく、アウグスティヌスという一人の人間が、自身の内面と真摯に向き合い、赤裸々に綴った物語です。
「神を探し求めた」と一口に言っても、彼の人生は決して単純ではありません。若い頃は快楽に溺れ、様々な思想に迷い、愛を求めて彷徨う姿は、現代の私たちにも共感できる部分が多いのではないでしょうか。彼の葛藤や苦悩、そして喜びや希望を通して、人間にとって普遍的なテーマである「愛」「罪」「信仰」「幸福」について深く考えさせられます。
難しい箇所もあるかもしれませんが、「告白」を読むときは、ぜひアウグスティヌスを遠い存在としてではなく、等身大の人間として捉えてみてください。そうすることで、彼の言葉がより身近に感じられ、物語に引き込まれていくことでしょう。
### ２．現代との繋がりを見つける
「告白」は、古代ローマ帝国末期という激動の時代背景の中で書かれました。当時の社会は、政治的な混乱、経済的な不安、そして伝統的な価値観の崩壊など、現代にも通じる様々な問題を抱えていました。
アウグスティヌス自身も、そうした時代の流れの中で、人生の目的や意味を見失い、苦悩していました。彼は「本当は何のために生きるのか」「自分は何を信じれば良いのか」という問いを、自らの経験を通して探求していきます。
彼の問いは、現代社会を生きる私たちにとっても、決して他人事ではありません。情報が溢れ、価値観が多様化する現代社会において、「自分は何者なのか」「どのように生きたら良いのか」といった根源的な問いは、ますます重要性を増しています。
「告白」を読む際には、当時の社会状況やアウグスティヌスの生きた時代背景にも目を向けつつ、現代社会との共通点や差異を見出すことで、より深い理解を得ることができるでしょう。
### ３．自分の人生と重ね合わせて読む
「告白」は、アウグスティヌスの個人的な経験に基づいた作品ですが、同時に普遍的な人間の心の動きを描いた作品でもあります。
彼の苦悩や葛藤、そして信仰に至るまでの心の軌跡は、私たち自身の内面にも通じるものがあるはずです。彼の言葉の一つ一つを、自分の人生と照らし合わせながら読んでみてください。
例えば、「愛」について書かれた箇所では、過去の恋愛や家族との関係、友情など、自分自身の経験を振り返ってみましょう。
「罪」について書かれた箇所では、過去の失敗や後悔、罪悪感など、自分自身の心の奥底に目を向けてみましょう。
このように、「告白」を自分自身の人生と重ね合わせて読むことで、新たな発見や気づきが得られるだけでなく、自分自身と向き合う貴重な機会となるでしょう。