アウグスティヌスの告白の選択
アウグスティヌスの回心における選択
アウグスティヌスの『告白』は、彼の劇的な回心体験と、それが彼の人生にもたらした深遠な変化を、赤裸々に綴った作品です。この作品を通して、アウグスティヌスは自身の内面を深く掘り下げ、神への愛と世俗的な欲望との間で葛藤する姿を描き出しています。
幼少期の悪戯と盗み
アウグスティヌスは、幼少期の悪戯や盗みについて、それが単なる子供っぽいいたずらではなく、彼の内面に潜む罪の傾向を示すものとして、深く反省しています。特に、梨盗みのエピソードでは、それが物質的な利益のためではなく、悪を行うこと自体に喜びを感じていたことを告白し、人間の罪深さを浮き彫りにしています。
マニ教への傾倒
青年期には、マニ教に傾倒したアウグスティヌス。マニ教の二元論的な世界観は、善と悪の葛藤に苦しむ彼に一時的な安らぎを与えました。しかし、マニ教の教義を深く理解するにつれて、その矛盾点に気づくようになります。特に、悪の起源や人間の自由意志に関するマニ教の説明に納得できず、新たな真理を求めて模索を続けることになります。
アンブロシウスとの出会い
ミラノで修辞学の教師をしていたアウグスティヌスは、そこでアンブロシウス司教と出会います。アンブロシウスの博識さと弁舌の才は、アウグスティヌスに深い感銘を与え、キリスト教への関心を高めるきっかけとなりました。アンブロシウスの説教を通して、それまで誤解していたキリスト教の教えを理解するようになり、彼の心は徐々にキリスト教へと傾いていきます。
回心の決意と洗礼
友人アリピウスや母親モニカの支えを受けながら、アウグスティヌスは回心の決意を固め、387年にミラノでアンブロシウスから洗礼を受けます。庭園での神秘体験や「聖アントニウス伝」との出会いは、彼の回心を決定づける重要な出来事として描かれています。
回心後の選択
洗礼後、アウグスティヌスは修辞学の教師を辞し、北アフリカに戻って修道生活に入ります。その後、司祭に叙階され、ヒッポの司教に就任。教会の指導者として、異端との論争や教会改革に尽力しました。