アウグスティヌスの告白の話法
回想形式
アウグスティヌスの告白は、過去を振り返りながら現在のアウグスティヌスが幼少期から回心に至るまでの半生を語っていくという回想形式で書かれています。この形式によって、読者はアウグスティヌスの内面を時間軸に沿って追体験し、彼の苦悩や葛藤、そして神への道を理解することができます。
対話形式(神への語りかけ)
全体を通して、アウグスティヌスは神に語りかけるような、または神に向けて告白をするような形式で記述しています。これは単なる一人称の独白ではなく、神という絶対的な他者を意識した対話形式と捉えることができます。この形式は、神の存在を前提とし、神との関係性の中で自身の内面を深く掘り下げていくアウグスティヌスの信仰心の強さを示しています。
自省
アウグスティヌスは自らの過去の罪や過ち、心の葛藤を赤裸々に告白し、深く反省しています。彼の自省は単なる過去の出来事の羅列ではなく、自身の内面を鋭く見つめ、その奥底にある欲望や真理への渇望を分析していくという哲学的な深みを持っています。
聖書からの引用
アウグスティヌスは自らの経験を語る中で、聖書の言葉を頻繁に引用しています。これは、彼の思想が聖書に基づいていることを示すと同時に、聖書の言葉を解釈し、自らの経験に照らし合わせて理解を深めようとする姿勢の表れでもあります。